それ、不法侵入です!勝手に鍵を開ける大家や不動産屋

Yahoo!知恵袋などの電子掲示板でしばしば見かける賃貸物件トラブルの一つが、「勝手に鍵を開けられた」「不在中に家に入られた」という、プライバシー無視の暴挙による被害である。
大家や管理会社、不動産屋は当然合鍵を持っている。
ただしそれを利用していいのは、事件や事故の疑いがあるなど、緊急時のみである。
用事があったり何かを確認したりしたい時には、まず賃借人に電話をかけるのが筋だ。
あるいは文書。
それらをすっ飛ばして勝手に住居に入るのは、犯罪者とやっていることが変わらない。
たとえ大家や管理会社・不動産屋であっても、いったん他人様に貸した部屋の中、住人の許可なく入ったり覗いたりすることはできないのだ。
ところが、である。冒頭のような被害が後を絶たない。
これらはひとえに、彼らの不勉強や非常識の為せる業だ。
アパートやマンションの経営は、素人でもできる。
また逆に、プライバシーといった概念が欠落している大家もいる。
しかし、だからと言って不法侵入が許されると思ってはいけない。
家賃収入を得たいならば、しっかり法律から勉強すべきなのだ。
大家以上に悪質なのが管理会社や不動産屋である。
一見プロのようでそうではない、法律どころか常識も理解できていない人が紛れている。
以下は私が物件探しをしている時に、実際にあったことである。
不動産屋がとった信じられない行為
当時私は一人暮らし向けのアパートを探していた。
偶然通りかかった不動産屋の店頭に希望条件にぴったりの物件を見付け、その場で話を聞いてみることにした。
間取り図によると、6畳の和室に縦長のスペースが付いていて、7畳分の広さがあるらしかった。
「畳じゃない部分はどうなっているんですか?」と問うと
「板の間だよ。畳に家具を置くと痛んじゃうでしょ。すぐそこだから、今から内見してみる?」と言われ、さっそく部屋を見に行くことになった。
この流れ、その部屋はすでに空室になっていると考えるのが自然だろう。
内見に向かう前に電話一本かけていなかったし、私に対しても何の説明もなかった。
ところが、アパートに着いて不動産屋が鍵を開け、勢いよく開け放ったドアの中を見た途端、私は絶句した。
まだ前の人が住んでいるのである。
引越し準備中、とかのレベルではない。
幸いその人自身は不在だったが、生活している空間がそのまま出現したのだ。
これだけで目を疑ったが、もっと驚いたことに不動産屋はこう言ったのだ。
「ほら、中に入って色々見てみなよ。」
キッチンには洗っていない食器が残っており、野菜の切れ端が落ちている。
布団は敷きっぱなしで、パジャマは脱ぎ捨てられたままだ。
はああああ!?頭おかしいの??
という言葉が口から出かけた。
住人のことではもちろん、ない。
不動産屋のオヤジに対してである。
誰だって一人で生活していれば、乱雑にしたまま部屋を出る日もあろう。
問題は、その状態を許可なく勝手に他人に公開したことだ。
そして当然ながら、部屋がきれいなら見せてもいいということではない。
不信感丸出しの表情で不動産屋をにらんだが、「どうしたの?汚いから入りたくない?」とあくまで呑気だ。
法律どころか常識、想像力、デリカシー…人として備えるべきものが全く備わっていないご様子。
「もう結構です。」と言い捨て、私はその場で踵を返した。
「来月○日にはこの人いなくなるよ~?」と言う声が追いかけてきたが、冗談じゃない。
次は自分が勝手に侵入される番ではないか!
絶対に契約したくない、利用したくない会社である。
あの「当然のことをしているだけだもんね」という態度、どう考えても不法侵入の常習犯だ。
その時はたまたま留守だったが、もし住人がいたらどんな反応が返ってきていただろう?
女性が着替え中だったりしたら、警察沙汰にちがいない。
それまで苦情はなかったのだろうか?
などという心配も今や無用、その不動産屋はやがて倒産した。
「だろうね。」という感想である。
彼は不動産会社を経営していたが、プロではなかったのだ。
よもやと思うが、ここまで読んで不動産屋のどこに問題があるか理解できない方はいるだろうか?
もし「オレ/私、理解できませんけど?」という方がいたら、絶対に大家になってはいけない。
トラブルだらけで入居率は上がらず、そのビジネスは間違いなく失敗に終わるだろう。
まとめと防御策
もし新居探しの際に、前の住人がいるにも関わらず内見を勧めるような不動産屋であれば、どんなに素晴らしい物件でもそこで契約をしてはならない。
もしそんな横暴な不動産屋で契約しようものなら、次に生活空間を侵害されるのは間違いなく自分である。
そもそもこのようなことを平気でやる不動産屋がまともだとは思えない。
それ以外にも問題がある可能性が高い。
同一の物件を複数の不動産屋で契約できるケースが今は多いので、心おきなく次の不動産屋をあたろう。
このような不法侵入トラブルは、大家が近くに住んでいる田舎のアパートでも特に多いようだ。
「私が貸しているんだから私のもの」という感覚でズカズカ上がりこむのだろう。
根本的に間違っている。
まずは契約時に、そのような蛮行はしない旨を確認したいところだ。
不動産屋や管理会社がまともなら、相談すれば注意してくれるだろう。
そして侵入防御策としては、家に居る時は必ずチェーンをかけること。
それでも突然鍵をガチャガチャやられたら、誰でも怖い。
万一を考え、すぐに警察に連絡しよう。