安全より大切なものはない!防災を考え物件を選ぶ
2016/04/22
物件探しと防災意識
私は小学生の頃に大きな地震を経験しており、間一髪で大怪我を免れた。
それは津波を伴う地震だったので、海岸沿いに住むいとこのお姉ちゃんの生々しい話も深く刻み込まれた。
そんな訳で、大学進学と共に自力での物件探しライフが始まった時、すでに防災意識は高いほうだったと思う。
今ほどインターネットは普及していなかったが、断層が走っていると言われる地区は意識的に避け、山を切り崩した斜面などの物件はどんなに好条件でも候補に入れなかった。
それでも防災面を”最優先事項”として考えるようになったのは、やはり東日本大震災が起こってからである。
特に大阪から東京に引越す際は、転勤決定と同時に考えたのが「首都直下型地震に備えておかねば」ということ。
実際、この点にフォーカスしなかったら、私たちはおそらく現在も違う街の違うマンションに暮らしていただろう。
災害対策を考慮して物件を探す際のポイント
防災と言っても、自然災害そのものを人間に止めることはできない。
災害が起きた時にいかに被害を防げるか、あるいは軽減できるかが大切だ。
私は物件探しをする際、以下の点に特に注意を払っている。
<1981年の建築基準法の改正後に建てられているか>
この改正は1978年に起きた宮城県沖地震で、家屋の倒壊被害が甚大だったためになされたものである。
目的は耐震基準の強化で、「震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる」強度を義務付けた。
今となってはこれ以前の物件はかなり古くなっているが、リフォーム等をしてあって外観がきれいでも避けるようにしている。
また耐震性・耐火性に優れた鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)、鉄筋コンクリート(RC)造であることも必須条件だ。
<避難経路は確保できるか>
東京や大阪のように人口密度が高い都市には、驚くほど狭い路地に沿って小さな住宅が密集している地域がある。
仮に崩れたブロック塀や倒れた電柱などがその道路を塞いでしまったら、まず車では逃げられない。
徒歩でも困難になるだろう。
そんな時に火災が発生したらどうなるか?
倒壊した建物の隙間で生き延びることはあっても、完全に火が回ってしまったらそれは不可能になる。
阪神淡路大震災では、全焼した住宅だけでも7,000棟を超えており、この事実は軽視できない。
もし近所から火の手が上がっても、逃げ出せるくらいの道路の幅、空間的余裕があるか?
候補物件の下見をする時は、そういう観点で街並みを見るようにしている。
災害対策を考慮して家探しをした結果
私が現在住んでいるマンションは、元々は第二候補だった。
しかし第一候補のマンションは、狭い路地の住宅密集地に建っていた。
その割には駐車場が広く、一時的に建物の外には出ていられる。
しかし火災があったらあっという間に火の手が回るのは容易に想像がついた。
また救急車や消防車が通りにくそうな道という印象であった。
さらに、今のマンションを下見した際、決め手になったことが二点ある。
まずは大家の豪邸が背後にどっしりと建っていること。
広い庭があるので急な揺れの時はそこに一時避難できる。
(全戸の入口が大家宅に向いているので防犯面でも安心だ。)
また、その地にようやく馴染んだと思う頃に引越しを繰り返す転妻にとっては、頼れる人の有無は非常に大きい。
もし引越し直後に震災に遭い、友人・知人が一人もいなくても、とりあえず大家を頼ることができる。
もう一つは、この大家が所有する果樹園や小さな畑が隣りにあること。
本当に大惨事になった時には、周囲にビルが建っているよりもこのような空間が広がっているほうが安全だ。
ちなみに第一候補だった物件は23区内にあり、この第二候補は区を僅かに外れた所にある。
なぜか区内にこだわる人も少なくないが、住所自体は大した意味を持たない。
即決で第二候補の豪農大家所有マンションに決めたのだった。
「そんなに慎重にならなくてもよくない?家にいる時に地震が来るとは限らないし。」
と言う人がたまにいるが、災害の発生は一瞬でも、被災状況は何日も、長ければ何週も続くもの。
外で被災しても、帰れる家が安全でなければ意味がない。
大きな地震が起こっても、しっかり立ち続ける可能性の高い物件を選んでおくべきだと私は思う。
新生活への期待が大きければ大きいほど、防災面はなおざりになりがちだ。
しかし地震の続く日本、万一の場合を想定することは不可欠だ。
地に足をつけ、想像力を持って判断することが大切ではないだろうか。