「未来人」騒動を賢く受け止め、防災意識を高めよう

2016年5月17日が終わろうとしている。
そう、2062年からやって来て、2chのオカルト掲示板に暗号めいた言葉で災害を示唆したり、将来の世界情勢を語ったりした「未来人」の告げた日付である。
東日本大震災の津波や熊本地震の発生を言い当てたと噂の彼。
ネット上では「5月17日に大地震が起きる」だの「いや5月17日は未来人がまた掲示板に現れると予告した日に過ぎない」だのと、彼の話題でもちきりだ。
それもそのはず、昨夜関東で起こった地震はやはり怖かった。
震源地は茨城県南部で最大震度は5弱、マグニチュード5.6。
都内の我が街は震度3であったが、揺れが長かったし、大きくなる気配を感じた。
地震が起こると噂になっている特定の日付とは一日差ゆえ、「まさか予言通りの大地震!?」と驚愕した人も少なくなかったようだ。
あるいは先月の熊本地震がそうであったように、昨日のが前震で、本震が今日来るのでは…と身構えた人もいると思う。
―などと、冒頭からサラッと非科学的話題を入れ込んでみたので、この文章に拒否反応を示す方もいるかもしれない。
この手のものを根拠なしに信じるのは難しい、当然だ。
私自身、頭から信じているわけではない。
だが信じるにせよ信じないにせよ、極端な反応を示す人々を見ると少々心配になる。
完全に信じ込んで不安に支配されても、反対に頭ごなしに否定して地震への備えを怠っても、あまりいい結果には結び付かないからだ。
特に、地震そのものを「起きるわけがない」と決めつけるのは危険極まりない。
予言を受け入れないのと、地震が来ないと断定するのは、別の話である。
地震は来るのである。確実に。
ただ私たちには正確な日時が分からないだけで。
だからこういった流言は、災害への注意を喚起してくれるものとして、各自備えを万全にするためのきっかけにするのが良いと思う。
心の準備も、ないよりはあったほうが良い。
びくびく怯えたりパニックになったりするのではなく、「予言に関係なく起こる時は起こる、だから備える」とごく冷静に受け止めるのが賢明ではないだろうか。
私自身に関して言えば、5月17日に”予言通りの”大地震が起こるとは思っていない。
むしろ毎日その可能性があると思って暮らしている。
四六時中そればかり考えていると身が持たないが、「想定外」ほど役に立たない言葉もないのは五年前に我々が学んだ通りである。
いつどこで何が起こるか誰にも分からない地殻変動。
備えがあっても憂いはなくならないが、備えは私たちに冷静さと心の軽さをもたらしてくれるだろう。
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