ミチカの引越し人生〜旅するようにおひっこし

特技は物件探し!18回の引越し経験者が綴るリアル引越しライフ

インタビュー「震災と移住」3~移住で幸せになるために

   

 

東日本大震災後、沖縄県に移住したマチ子さんに話を聞くインタビュー「震災と移住」全三回、これが最終回である。

(第一回⇒「震災と移住」1~仙台で被災、沖縄移住を考えるまで
(第二回⇒「震災と移住」2~沖縄移住のプロセスと支援の内容

仙台での被災前と後で防災への意識がどう変わったか?

またその経験をどう生かしているのか?

最後には沖縄移住を考えている方へのアドバイスなども伺った。

 

新生活に向けた物件探し、被災経験をどう生かす?

 ―今は沖縄の支援条件にあてはまるマンションに住んでいるけど、近いうちにそこを出ると言ってたよね。

うん、できれば来年には。
実はもう家探しを始めているの。

―猫が五匹いるのもあるだろうけど、ちょっと古い木造の一戸建てが好きじゃない?
鉄筋よりは頑丈さでは劣ると思うけど、木造がすべて危険なわけではもちろんない。
どんな点に気を付けて物件を検討している?

具体的に物件を検討する前に、まずはその地域全体の地盤について調べている
言うまでもなく断層の上や山の斜面は危険だから避けるし。

地盤の強度が一目で分かるサイトがあって、住所を入力するだけで地震時の揺れやすさ、浸水・液状化や土砂災害の可能性などがチェックできるの。
新居を決める前にこれをやっておくのをお勧めする。

地盤サポートマップだよね。
私の住んでいる所は揺れやすさは中程度だけど、ほかの可能性はなしor非常に低いという結果だった。
安心できる住居探しに下調べは不可欠だね。
地盤チェック以外の点はどう?

私たちが一戸建てを希望するのは猫がいるからだけじゃなく、ほとんどの集合住宅にはない庭や駐車場が付いているからなの。
仙台で三日間サバイバル生活ができた(「震災と移住1」参照)のもこのスペースのおかげだし、猫五匹を連れて避難所は行きにくいから、やっぱり空間的余裕は必要だなと。

―ペットがいなくても空間の余裕はあるに越したことないよね。
じゃあ、物件探しの際の内見や不動産屋でできることってあるかな?

うん。私は内見してちょっとでも不安に思ったら図面を見せてもらって、おかしい所がないか確認する

―そうか、建築科出てるもんね!強みだね。

そうね。内見の時は基礎がしっかりしているかを見る。
柱の数や太さとかね。

リフォームしているから、あるいは新築だから頑丈とは言えなくて、利便性やデザイン性を重視して柱を抜いたり細くしたりしている物件は嫌だなあと思う。

―じゃあ実際に物件が決まって、入居してから気をつけていることは?

背の高い家具は置かなくなった。
腰より高い位置の家具はもう要らないね。
ある場合はしっかり固定しておくし、高い所に割れ物や重いものをしまわない。

あとはとにかく物を増やさない
人は意外と少ない荷物で暮らしていけるよ。

 

移住を考えている方へ

―これから沖縄への移住を考えている方にアドバイスはある?

南国への憧れだけで移住を考えているならちょっと危険かなと。
沖縄は楽園じゃないし、場所と環境が変わっても日々の生活は続いていく

あと離島への移住を考えている場合、島によって環境が全く違うから、どんな自然の特徴があって、どんな行政なのかをしっかり調べておいたほうがいい。

いずれにせよ、仕事を確保してから引越すのが賢明だと思う。
特に沖縄に身寄りや頼れる人がいない場合、部屋を借りるところで苦労するかもしれないし(詳しくは「震災と移住2」参照)。

何をしてお金を稼いで、どこに住んでどんな生活をするのか。
冷静にシミュレーションはしておくべきだと思う。

そうじゃないと、結局自分で自分の首をしめるだけだし、「こんなはずじゃなかった」と何かのせいにしてしまうことになるから

―なるほど。住めば都は真理かもしれないけど、都は天国じゃないしね。
移住の成功はひとえに冷静さや堅実さにかかっているのかもしれないね

うん、移住生活は自己責任以外の何ものでもない

新しい生活を”始めたい”にしても”始めざるを得ない”にしても、自分が行動した分は必ず返って来る
私は実体験でそう確信したよ。

―実体験に勝る説得力はないと思う。
「移住して良かった!」と心から思えかどうかは自分次第なんだね。
これは沖縄だけじゃなく、どこに移住するにしても当てはまると思う。

私が被災後のマチ子さんを見ていて感じたのは、どんな状況でも前を向いて行動することが移住成功の鍵だということ。

思い出したくないこともあったかもしれないけど、貴重な話を聞かせてくれてどうもありがとう。

 

まとめ

日本は災害の多い国で、住む場所を奪われるかもしれない可能性は誰も否定できない。
また移住を考えるきっかけも、災害だけとは限らない。

子育ての環境を整えたい―
その場所が好きだから、夢だから―
何らかの苦しみがあって、今いる場所から逃げ出したい―

人それぞれ、様々な理由や事情があると思う。

日本人は農耕民族で土地を大切にし、そこに根を張って暮らすことを良しとする人は多いが、それだけが「正しい選択」とは限らない。

私たちは自分の意志で住む場所を選ぶことができるのだ。

そしてまたいつでも別の場所に動くことができる。

 

マチ子さんは率直な言葉で具体的な体験を語ってくれたので、移住を本格的に検討中の方はもちろん、今後起こると予測されている地震に備えたい方にも参考になるポイントがあったと思う。

いつかこのインタビューが僅かでも、誰かの前向きに歩く力となれば幸いだ。

 

 

 

 - 移住するということ

メトホルミン