大阪への引越しを不安に思う方へ~人と人が近い街

私は東日本出身だが、親戚や親友が大阪人なので、大阪特有のアレコレにあらかじめ免疫があった。
しかし東日本の人間、特に関東以北にしか住んだことのない人間にとって、大阪への引越しというのはキョウフにも似た感情を抱くものらしい。
完全に異文化? ―間違いない。
完全に異人種? ―否定できない。
東の人間が何より恐れているのは、”大阪のオバチャン”が代表するような、大阪の人々の図々しさ おせっかい 底知れぬパワーだろう。
確かに、気が短い人が多い。
自転車は平気で歩道の真ん中を走り、しかも歩行者をベルでチリンチリン威嚇しまくる。
「お前はこの道の主か!」とつっこみたくなるオジサンオバサンがかなり棲息している。
「交通安全教室に参加して来いや!」と声を大にして言いたい。
また東日本ではあり得ないことだが、初対面の人にもまるで子どもの頃からの知り合いのように話し掛ける。
しかも最初から「あんた」と声を掛けたりするので、親にもそんな呼び方をされたことのないナイーブな人間はショックを受けてしまう。
ただこれには悪気がないので、方言の一つと思って受け流そう。
と、不安をあおるようなことから書き始めてしまったが、安心してほしい。
何か困ったことがあった時、必ず親切な人が助けてくれる街。
それが大阪だ。
「おせっかい」「図々しさ」といった短所は、東京の短所「無関心」のまさに反意語。
それだけ他人を近しい存在として意識しているということだ。
想像してみてほしい。
右も左も分からぬ街で、完全に迷子になってしまったら。
あるいは道の真ん中で、立っていられないほど具合が悪くなってしまったら。
あなたは見て見ない振りをされたいだろうか?
これが大阪なら、気付いた人から順に声を掛けてくれる。
ワラワラと人が寄って来て、手分けしたり相談したりし合いながら助けてくれる。
これから大阪に引っ越すのが不安でたまらない方、大阪に苦手意識を持っている方には、そういう一面があるということをぜひ頭の片隅に置いておいて頂きたい。
それだけで不必要な壁を作らずに済むだろうから。
自ら殻にこもりさえしなければ、友だちや相談相手はいくらでもできる。
ところで、大阪ほど美味しいものが安いところはなかなかない。
生活はもちろん便利。
街には活気があふれている。
「住めば都」は大阪にもちゃんと当てはまる。
それどころか、二年も経てばむしろ離れたくなくなること請け合いだ。